性交痛とトリコモナスの関係性
※こちらの記事は当サイト運営のヘルスケア編集部が執筆したものです。当サイト監修の満行みどり医師による査収は含まれておりませんことをご了承くださいませ。
性交痛とトリコモナスの関係とは?
性交痛はトリコモナスとも関係がある病気です。トリコモナスに感染したことに気づかないまま治療が遅れると炎症が悪化し、性交時に痛みを感じることがあります。
そのような事態を防ぐためにも、トリコモナスについて知識を蓄えておきましょう。
トリコモナスとは
トリコモナスとは、トリコモナス原虫によって起こる感染症であり、多くの場合、男性の尿道にいたトリコモナスが女性の膣内に侵入することで感染します。
性行為によって感染した菌は体内に長期間とどまることから、感染時期や感染した相手を明確に特定するのは難しいといわれています。
トリコモナスによる症状はさまざまで、主な症状は泡状のおりものや膣の悪臭、強いかゆみなどです。放置しておくと骨盤内炎症疾患を発症し、妊婦さんの場合は早産の原因になります。
トリコモナスに感染しやすい部位
子宮頸部
女性がトリコモナスに感染する部位として、最も多いのが子宮頸部です。子宮頸部はトリコモナスに感染した男性と性交渉をした際に直接触れ合う部分でもあります。
子宮頚部は感染すると赤くなり、尿道炎も併発しやすい状態に。この際に膣の外側ではバルトリン腺という部分も炎症を起こす場合があります。
膀胱
トリコモナスは子宮頸部や膣内などの女性器だけでなく、膀胱で増殖することもあります。この場合は頻尿、排尿時の痛みといった症状が見受けられます。
この症状はトリコモナスによる尿道膀胱炎を引き起こしているからであり、一般的な膀胱炎だと思って診察を受けたらトリコモナスが原因だったということも少なくありません。
トリコモナスになる原因とは
粘膜の直接接触
コンドームをつけずにセックスをすることが、トリコモナスに感染する主な原因です。トリコモナスは性感染症なので、直接性器と性器が接触することで感染してしまいます。
挿入しなければ良いというわけではなく、感染している部分が触れるのであれば挿入しなくても感染してしまいます。トリコモナス原虫は基本的に女性器と男性器どちらにもいるので、性器を接触させること自体が感染の原因となるのです。
不衛生なものへの接触
洗っていない不衛生なタオルを共用したり、便器を共用したりすることでもトリコモナスに感染しやすくなる原因の一つです。
とくに下着などは直接肌に触れるものなので、共有すると感染するリスクが一気に高まります。トイレ以外にもバスタブや風呂おけなど、共同で使うものは注意が必要です。
公衆浴場の利用
性行為以外で考えられる感染源が公衆浴場です。浴場は不特定多数が使用する場所。衛生面が向上してきているとはいえ、衛生環境が完璧かどうかは判断がつきづらいといえるでしょう。
トリコモナスは水中で長時間にわたって生きながらえます。そのため、不特定多数が使用する公衆浴場も感染源になる可能性があります。
一般的な公衆浴場は衛生面が向上しているので性行為よりも感染する確率は低いとみられていますが、衛生に保てているかどうかは判断がつきにくい部分といえるでしょう。
公衆浴場と同じく、プールも感染源として考えられる場所です。性行為をしていなかったとしても、多くの人が利用する場所は気を付けておくことが大事です。
トリコモナスの症状
女性の症状はさまざま
トリコモナスに感染した場合、女性にはさまざまな症状が表われます。おりものの質に変化を感じる方もいれば、強い痛みを感じる方もいますし、なかには症状が表われない人もいるようです。
こちらでは主な症状をまとめました。
無症状
トリコモナスに感染した女性の約半数は、とくに症状を感じません。しかし、その3分の1の患者は半年以内に何らかの症状が現れると考えられており、症状が進むとおりものに血が混ざるなどの症状が出始めます。
おりものの変化
トリコモナスに感染するとおりものが泡状になり、においが強くなります。おりものの状態が変化するのは、トリコモナス原虫が膣内で増殖することによって自浄作用がなくなることが原因だと考えられています。泡状になったおりものは、徐々に黄色みが強くなっていく傾向が強くなります。
強いかゆみ
膣の自浄作用がトリコモナスによって損なわれると、膣に強いかゆみが生じることがあります。感染したばかりの時期はむずがゆさと小さな痛みになりますが、次第にひりひりとしみるような痛みを伴っていきます。
これは菌が増殖することでこれらの症状が引き起こされていくことで起こり、さらに悪化すると不妊につながる可能性も。性交渉後にかゆみと痛みを感じ始めたら、早めの治療を考えなければなりません。
トリコモナスの治療法は?
治療薬の服用
トリコモナスの治療には専用の治療薬が使われます。治療薬の一般的な服用期間は約10日間。妊娠している場合は薬の服用ができないため、膣剤を使用した治療法を提案される場合もあります。
症状が悪化したなどの理由で治療が難しいトリコモナスの場合は、薬と膣剤の両方を使って治療することもあります。
コンドームを使用する
せっかく治療が終わってもパートナーが治療していなければ、再びトリコモナスに感染してしまうおそれがあります。トリコモナスはパートナー同士で感染を繰り返すピンポン感染が多く、再度感染すると治りにくくなってしまうことも。男性側はトリコモナスに感染していても自覚症状が出にくいため、性交渉の際は必ずコンドームの着用が必要です。女性は自分の身を守るためにも、パートナーにコンドームの着用を促しましょう。
トリコモナスは性交痛を伴う病気ですが、症状が深刻になるまではなかなかクリニックへ足を運ぶ方が少ないようです。しかし重症化するとその分だけ直りが遅くなってしまうので、性行為の後に気になる点があればクリニックへ相談しましょう。
監修
満行(みつゆき)みどり先生
女性器治療に特化した医師

みどり美容
クリニック・広尾
満行みどり先生
満行みどり先生は女性器治療に特化した「みどり美容クリニック・広尾」の院長。
ビバリーヒルズの専門トレーニング施設でライセンスを取得した日本人女性初の医師でもあり、デリケートゾーンの悩みを抱える患者さんに適切な治療を提供したいと日々尽力されています。