性交痛と潤滑剤(潤滑ゼリー)

日本では、欧米のように個人間でオープンにされにくいといわれている「セックスライフ」の話題。人がなぜ生まれてきたのかを考えると、「性とは切っても切り離すことができない」はずです。しかし、各々の体験を赤裸々に語れる場面は少なく「私は、他の人と違うかも?」と悩みがあっても会話に出すことができず、さらにそこからまた悩みが増えていく人が多くいるようです。

欧米では、性も健康を気遣うことと同じくらい大事なこととされ「セクシャルヘルス」に対する意識が高いのです。日本でも、心と体の健康を自己管理するのと同じくらい、性に対して真剣に考えていくことが理想です。ここでは、性交痛と潤滑剤(潤滑ゼリー)についてお伝えしています。

潤滑剤(潤滑ゼリー)とは

潤滑剤(潤滑ゼリー)とは、性交痛を感じる人がセックスライフを円滑に行なうために、女性の膣内に挿入して滑りをよくするものです。膣内が濡れにくくなった女性が潤滑剤(潤滑ゼリー)を使用することで、痛みを感じることなく性交ができるようになります。また、性交時の痛みから「苦痛」「不安」といったプレッシャーを和らげる役目を果たしてくれます。

潤滑剤(潤滑ゼリー)女性の分泌液に近い成分でつくられています。潤滑剤(潤滑ゼリー)は、膣内に直接挿入して使用するため、安全性を重視して選ばなくてはいけません。食べ物と同様、口の中に入れても問題が起きない安全な成分の潤滑剤(潤滑ゼリー)を使うようにしましょう。使用時には、衛生上の取り扱いも考慮して細菌などがつかないように、直接手に出すものではなく、1回で使い切れるタイプのものを選ぶようにしましょう。使用感も考えて、極端なベタつきやぬるぬるした感じがないものがおすすめです。

ローションとのちがい

一方、潤滑剤と似ていて薬局などでも販売されているローションは、体全体に塗布してパートナーとボディマッサージを行なうことを目的としたものです。使用方法としては、膣内に塗布するのではなく、全身に塗って使用します。潤滑剤の場合は、膣内の濡れ不足を補いためのものであるため、局部に使用します。ローションを使用すると、肌の滑りがよくなるため、パートナーとともに血行がよくなり性交時の感度が増すアイテムのひとつでもあります。

性交痛と潤滑剤の関係性・親和性について

性交痛とは、性交時に感じる痛みのことを指します。性交痛が起きる原因は、挿入時の膣内の潤いが不足していることが原因であるといわれています。性交を行なう時に、性的な興奮があると「女性器が濡れる」という現象が起こります。それによって、性交時に痛みを感じることなくスムーズに行なうことができるのです。

女性器が濡れる仕組みは、性的な興奮が高まった時に起きる膣壁周辺の毛細血管の拡張から起こります。毛細血管が拡張することで血管壁を押し開き、その間から体内の潤滑液(分泌液)が落ちてくるという構造になっています。

「性交時に痛みを感じる」人は女性の場合70%。多くの女性が性交痛で悩んでいるということがわかります。

参考:オカモトラバーズ研究所

近年では、夫婦間のセックスレスが問題に取り上げられています。特に、産後は、エストロゲンの減少で性的な興奮が起きづらく、潤滑液(分泌液)も不足しやすいといわれています。慣れない育児による疲労、会陰縫合部の違和感などが原因でさらに、セックスレスをエスカレートさせる要因となっています。

一般社団法人日本家族計画協会の調べでは『産後初めての性生活では、潤滑剤(潤滑ゼリー)を使用することで、痛みを感じる人は減っている』ということがわかっています。そのため、潤滑剤(潤滑ゼリー)は産後の性生活には有効であり、夫婦生活を円滑に行うためにもお互いが話し合い使用できることが望ましいと回答されています。

参考: 一般社団法人日本家族計画:産後の性生活と情報提供の実際

まとめ

大切なパートナーとのスキンシップやセックスライフを楽しみながら幸せな時間を過ごしたいと考えている女性は多くいます。顔や性格と同じように、性交時の悩みも人それぞれに違います。誰にも言えないからと、一人で考えているとますます不安になり性交痛が増す原因にもなりかねません。

性交時には、緊張感を和らげるためにパートナーとリラックスできる時間をとることも大事です。本来はもっと、社会間において性交について共有できることが理想ではありますが、すべての人とオープンにすることが難しくても、できる限りパートナーと話し合うことが望ましいですね。

監修

満行(みつゆき)みどり先生

女性器治療に特化した医師

満行みどり医師

みどり美容
クリニック・広尾
満行みどり先生

満行みどり先生は女性器治療に特化した「みどり美容クリニック・広尾」の院長
ビバリーヒルズの専門トレーニング施設でライセンスを取得した日本人女性初の医師でもあり、デリケートゾーンの悩みを抱える患者さんに適切な治療を提供したいと日々尽力されています。

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