性交痛と漢方

女性が悩む性交痛。

性交痛の原因にはさまざまなものがありますが、ただ痛みを感じるだけでなく、重要な婦人科系の病気が潜んでいる可能性もありますので、異常を感じたらすぐに医師の診察を受けることが重要です。

性交痛が起こる原因

性交痛とは、その名の通り性交を行なっている時に生じる痛みのこと。

性交痛の原因にはさまざまなものが挙げられますが、子宮内膜のある人や、卵巣や卵管に腫れが生じている人に多いといわれています。

また、更年期障害の人も性交痛が起こりやすいといわれていますので、女性の性交痛は年齢を問わず幅広い人に起こりやすいということがわかります。

性交痛は漢方で解決できる

性交痛を覚えた場合、まず婦人科で検査を受けてみましょう。

子宮内膜症や卵巣、卵管の異常が見つけられた場合には、それぞれの婦人科で採用している治療を受けながら、症状の改善を目指します。

子宮内膜症の場合、婦人科ではホルモン療法で対処することが多いです。

ただしホルモン療法には気分が悪くなるなどの副作用が生じる場合があるため、できれば避けたいという人もいます。

子宮内膜症は漢方でのアプローチが可能で、漢方治療では滞った血流を改善し、また子宮内の不要なものを体外に排出しやすくすることで、子宮を柔らかくして症状の改善を目指します。

更年期障害などにおいても、漢方でのアプローチが可能ですので、婦人科での治療に抵抗のある人は、漢方治療を希望してみるとよいでしょう

監修医・満行みどり先生の見解

漢方薬は「性交痛を治す」というよりも、「性交痛が起こりにくい状態に整える」ためのものです。予防という意味ではいいかもしれませんが、治療という意味では、ほかの方法と併用…という形がよいでしょう。

効果の発現については、実際の体質に近い「証」を診断してもらうのが重要です。漢方を取り扱っている薬局の薬剤師や専門医に相談し、それぞれの証を意識した薬を処方していただくのをおすすめします。

ただし、証を診断したうえで漢方を処方してもらった場合は、保険適用外となるため注意が必要です。「医師が疾患を認め、その疾患に対して漢方薬が有効あると診断した場合」に限り、保険適用となります。健康維持・増進を目的に漢方薬の処方を希望した場合は、自費になるため気を付けてください。

  • 費用の相場:1か月あたり3,000~1万円程度
  • 考えられるリスク:漢方は副作用が少なく安全性が高いと思われていますが、「証(体質)」に合っていないと、症状を悪化させるなど思わぬ副作用が出ることもあります。

性交痛に効果がある漢方

桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

桃核承気湯は、血の巡りをよくしてイライラや不安な気持ちを鎮める効果があります。

血の巡りがよくなることで、子宮の状態もよくなり、生理不順や生理痛などの症状が緩和されるほか、子宮内膜症の症状にも効果があります。

性交痛に関する症状以外の効果としては、肩こりや腰痛、打撲症状の緩和などに用いられることもあるようです。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

加味逍遙散は、女性の不調に用いられるもっともポピュラーな漢方薬です。

生理不順や更年期障害、ストレスによる心身の不調など、幅広い症状に用いられます。

この漢方薬も、桃核承気湯と同様に血の巡りをよくして、滞っている悪い血を体外に排出する効果が高いです。

ほかの漢方薬と合わせて使用することもあります。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散も女性の不調に幅広く用いられる漢方薬で、月経不順や不妊症、もちろん子宮内膜症にも使用されています。

こちらの漢方薬も血の巡りをよくして、瘀血を呼ばれる悪い血を体外に排出する効果がある漢方薬です。

婦人科系の症状のほかには、しもやけやむくみ、耳鳴りなどこちらも幅広い症状に用いられます。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸には、血の巡りを良くすることで生理痛や月経不順、月経異常などといった女性の悩みを解消する効果があります。とくに下半身の冷えに効果的で、自律神経の乱れやホルモンの変動に伴って現れる精神不安、いらだちなどの緩和にも役立つでしょう。

ホルモンバランスが乱れやすい産後に飲むことで、膣分泌液の減少を防ぐこともできるそう。乾燥を予防して、うるおった膣内環境をサポートしてくれます。また、自律神経の乱れに対する効果も。自律神経の乱れによる血行不良は性交痛の原因の1つでもありますから、桂枝茯苓丸を使用することで痛みの緩和も期待できます。

監修

満行(みつゆき)みどり先生

女性器治療に特化した医師

満行みどり医師

みどり美容
クリニック・広尾
満行みどり先生

満行みどり先生は女性器治療に特化した「みどり美容クリニック・広尾」の院長
ビバリーヒルズの専門トレーニング施設でライセンスを取得した日本人女性初の医師でもあり、デリケートゾーンの悩みを抱える患者さんに適切な治療を提供したいと日々尽力されています。

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