性交痛とクラミジア感染症の関係性

※こちらの記事は当サイト運営のヘルスケア編集部が執筆したものです。当サイト監修の満行みどり医師による査収は含まれておりませんことをご了承くださいませ。

性交痛とクラミジア感染症の関係とは?

性交時に痛みを伴う場合、クラミジアに感染しているかもしれません。性交痛にはクラミジア感染症が深く関わっているのです。

クラミジアは細菌の一つですが、性交により感染し、さまざまな症状を引き起こします。

こちらでは、クラミジア感染症について詳しく説明していきます。

クラミジア感染症とは

クラミジアは日本で最も多くみられる性感染症であり、とくに若年層の女性が感染しやすい傾向にあります。クラミジアにはさまざまなタイプがあり、一番感染者が多いのはクラミジア・トラコマティスという、性器粘膜により感染するタイプです。

クラミジア・トラコマティスは、オーラルセックスであっても口内で菌に感染し、咽頭炎や扁桃腺炎を引き起こす可能性があります。また、妊娠時に感染すると、母親となる女性だけでなく胎児にも悪影響を及ぼすため注意が必要です。

クラミジア感染症にかかる原因とは

クラミジア・トラコマティスという細菌が、クラミジア感染症の原因であるといわれています。クラミジア・トラコマティスは性交渉によって尿道や子宮頸管に侵入し、喉の奥から感染する場合もあります。そのため、性器同士が接触していなくても感染するおそれがあるのです。

性交渉によって感染する場合は、コンドームを使用していない場合がほとんどです。性交渉によって喉から感染しやすいのは女性が多く、男性の感染に比べると多くなる傾向にあります。クラミジアの感染経路はほぼ100%が性行為だと考えられており、プールや大衆浴場で感染することはありません。

クラミジア感染症の症状

感染症が発症するまでの期間は数週間とされていますが、約80%は症状がないとされています。女性が感染した場合、おりものの量が増えることもあるようですが、ほとんど自覚されません。しかし、痛みや症状がないからといって放置しておくと、クラミジアが体の深部まで増殖してしまいます。

クラミジアが増殖すると、急性腹膜炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎など、さまざまな病気を発症する可能性が高くなります。

さらに進行すると女性器の周りだけでなく、骨盤腹膜炎や肺周囲炎、卵巣炎など体全体に菌が広がって発症するケースもあります。こうなると、子宮外妊娠や不妊の原因となることがあるでしょう。また、産道を通して胎児がクラミジアに感染すると、結膜炎や肺炎になり、早産や流産をしてしまう確率が上がります。クラミジアを発症していると、HIVや他の性感染症にかかりやすい状態になるので注意が必要です。

クラミジア感染症の経路

クラミジア感染症は、病態が進むにつれてさまざまな炎症を引き起こします。感染初期は比較的症状が軽いですが、だからといって放置しておくと、後で重症化する場合があるので注意が必要です。こちらに感染症の経路となりやすい部分をまとめました。

尿道炎

クラミジアの細菌が尿道に感染すると尿道炎を引き起こすことがあります。症状としては、排尿痛や、尿道から分泌物がでることがほとんどです。性交から1~3週間ほどで症状が表れ、淋筋性尿道炎(りんきんせいにょうどうえん)を併発している可能性が高いのが特徴です。

精巣上体炎

精巣上体炎は男性が発症しますが、原因はクラミジア・トラコマティスとクラミジア感染症の細菌と同じです。そのため、精巣上体炎を発症している男性と性交渉があると女性にクラミジア・トラコマティスが感染し、子宮をはじめさまざまな感染症を引き起こす可能性が高くなります。

子宮頸管炎

子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)は子宮頸管という部分にクラミジアの細菌が増殖することで発症し、発熱や下腹部に痛みが生じる病気です。

おりものの量が増えたり、水っぽかったり、色がピンクや茶褐色になっていたりする場合は、子宮頸管炎が疑われます。

子宮頸管炎自体は重篤になるような症状はありませんが、出産時に感染すると胎児が肺炎や結核になる可能性が高くなります。

子宮付属器炎

卵巣と卵管に炎症が生じた状態を子宮付属器炎といいます。発症時は下腹部の痛みと発熱を伴い、吐き気や嘔吐、下痢といったように消化器官にもさまざまな症状を併発。

発症後しばらくすると痛みは治まりますが、このときに癒着が起きると不妊症の原因となる場合があります。

骨盤腹膜炎

骨盤腹膜炎(こつばんふくまくえん)クラミジアが関係して起こるといわれている炎症です。子宮や卵巣の炎症が拡大して炎症を引き起こしていくため、不妊の原因になりかねません。炎症がクラミジア・トラコマティスによって起こった場合は、性交渉の際に相手にも感染する可能性があります。

肝周囲炎

肝臓を包む皮膜にクラミジアが感染すると、肝周囲炎を引き起こすことがあります。

主な症状は、発熱や右季肋部痛、腹痛。産道や卵管からクラミジアが侵入することが原因です。肝周囲炎による腹痛は激痛で、妊娠中に発症すると流産のリスクが高くなる症状としても知られています。

不妊症

クラミジア感染症の後遺症が不妊の原因となる場合があります。クラミジアは自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに感染して治療が遅れてしまう可能性が高いのです。そうなると子宮の動きが鈍くなる、または機能を失ってしまう場合もあります。

クラミジアは薬物治療で改善する可能性もありますが、不妊の原因となってしまう場合もあるので定期的な検査が必要です。

クラミジア感染症は自分で気づける?

自分で気づかないうちに症状が進行し、悪化しているというのがクラミジア感染症の怖い点です。自覚症状がほとんどないので、感染していることすら気付きにくいのです。治療しないままでいると自身の体にさまざまな支障をきたすだけでなく、性交渉の相手にも感染させてしまう可能性が高くなります。

感染したかどうかをなかなか自覚しづらいクラミジア感染症ですが、女性波おりものの量が増えたり、色が変わるなどの変化があったらまずはクラミジア感染症ではないかを確認することをおすすめします。

おりものだけでなく、性交渉中の痛み(性交痛)や下腹部痛を感じた場合も「おかしいかもしれない」と感じたらすぐに女性器の治療を専門としているクリニックで診察を受けることをおすすめします。

監修

満行(みつゆき)みどり先生

女性器治療に特化した医師

満行みどり医師

みどり美容
クリニック・広尾
満行みどり先生

満行みどり先生は女性器治療に特化した「みどり美容クリニック・広尾」の院長
ビバリーヒルズの専門トレーニング施設でライセンスを取得した日本人女性初の医師でもあり、デリケートゾーンの悩みを抱える患者さんに適切な治療を提供したいと日々尽力されています。

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